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大量生産・大量消費をやめられなかった日本の20年

プラスチックゴミを減らすということは、環境問題、消費社会について考えることでもあります。

 

 

1.『人新世の「資本論」』斎藤幸平/著 2020年刊行

 

2.『たのしい不便~大量消費社会を超える~』福岡賢正/著 2000年刊行

 

 この2冊の本は、そんな社会問題に取り組もうと思っている方にぜひおススメです。

  

人新世の「資本論」 (集英社新書) | 斎藤 幸平 |本 | 通販 | Amazon

 

コロナ禍の2020年9月に出版された、経済思想学者の斎藤幸平氏の著作です。

冒頭の写真とカバーが異なりますが同じ本です。斎藤氏の顔写真入りのカバーは、白い表紙のカバーに販促のためさらにカバーをかけたというちょっと過剰包装なのですが・・・

 

そこは置いておくとして。

 

2021年新書大賞1位を受賞し、今でも売れに売れているので、ご存じの方も多いかと思いますが、わたしは人から教えてもらうまで知りませんでした。

 

KANKIKUを立ち上げてから、様々な方と情報交換、意見交換するようになり、3月に環境問題についてのワークショップでご一緒させていただいた20代の記者さんが、この本を教えてくれたのです。

 

その同じタイミングで、経済雑誌の「プレジデント」を定期購読し始めると、斎藤幸平氏の記事が出ていたりと新鋭の学者さんだということを知ったのですが・・・

そこでは、マルクスがどうのこうのって何よ・・・??と・・・苦笑

しかし、「人新世~」を読み進めていると、いつしか、どうすれば現実的にこの気候変動を食い止められるのか??と、大きな枠組みで考えようとする自分に気づきました。

 

「人新世」って何?と思っている方。”ひとしんせい”と読みます。

ノーベル化学賞受賞したパウル・クルッツェンが地質学的に見て、地球が新たな年代に突入したというこの今現代の世界を「人新世」と名付けました。

「人新世(ひとしんせい)」とは、人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代、という意味だそうです。

 

私たちにできる小さなことからSDGsに取り組んでまーす、という感じでは気候変動は解決できません。むしろ、そういう善意は有害である、と!なぜなら、それをやっているよ、という自己満足で大胆なアクションを起こさなくなってしまうからだと。

富裕層の生活を見直せば、それだけで世界中の何割か二酸化炭素排出削減できるという話も。

ごもっともな論説が目白押しです。

 

そして、257ページが印象深いです。

 

マーケティング産業への痛切な批判。化粧品の場合、商品そのものを作るよりもパッケージングに3倍もの費用をかけている場合もあるという。

”その魅力的なパッケージ・デザインのために、大量のプラスチックが使い捨てられる。だが、商品そのものの「使用価値は、結局、なにも変わらないのである”

 

KANKIKUのコンセプトに通ずる一説で大きくうなづけました。

 

ただ、読み終えてみて、確かにこの本で斎藤氏は、センセーショナルに提言し、かつ学術的アプローチで信ぴょう性を持たせているけれど、この提言というのは、実は20年以上前からされていたんだよな、とも気づきました。

 

それが、もう一冊の元毎日新聞記者だった福岡賢正氏が書いた『たのしい不便』。

たのしい不便―大量消費社会を超える | 福岡 賢正 |本 | 通販 | Amazon

 

この本はですね、昨年の秋にたまたま図書館で見つけた本で、なんとなく借りて読んだというところから、非常に良書なので、手元に置いておきたくてネットで買いました。

 

最初から、驚かされました。

 

1998年の正月、朝日新聞と毎日新聞がこれまでにない社説を掲げていたというのです。

 

今の消費社会、情報社会に疑問を投げかけ、

 

”大量生産・大量消費、大量廃棄に支えられた現代文明が、このままでは環境破壊や人口爆発、食料不足、資源・エネルギーの枯渇などの危機に見舞われ早晩破綻するだろう…”

 

”我々自身が消費文明を謳歌しながら、「途上国」の人々にだけ我慢を押しつけることは倫理的に許されないし、政治的に強制することも不可能だ。当面道は一つしかない。「先進国」の人間、つまり我々が物質やエネルギーの消費量を減らすしかないのである。”

 

この本は、福岡記者が、新聞の連載企画として、そんな社説に書かれる社会を見つめなおすべく、慣れ切った便利な生活から、あえて環境にやさしい不便な生活を実践してみたルポルタージュになっています。

さらに、その分野の専門家たちとの対談も収録。

 

と本の紹介をしたところで。

 

20年前に出版された本に書かれている内容ですよ!

 

20年経った今現在に言われていることとまったく同じじゃないですか!

 

私は、どこに向けていいのかわからないような憤りと情けなさがこみ上げてきました。

 

私たち大人はこの20年間何をしてきたのでしょうか。

 

福岡記者は、20年経った今現在のこの社会をどう見ているのでしょうか。

 

2020年のパンデミックから、私は思います。

これが地球からの最後のチャンスだよ、というメッセージではないかと。

 

2050年までに二酸化炭素排出ゼロを掲げはじめた世界。

過去20年で変わらなかった日本。

これから30年は最後のチャンス。

 

ピンチをチャンスにするには、行動あるのみ。

 

取り組むしかないですね!!!!